1962年生まれ、かな入力千代子のお天気日記

あの、自分が還暦を過ぎた事が自覚できないのです。まだ知りたい事、知らない事が沢山ある気がします。

プアゾンの香り

ちょっと、バブルの頃の話を。これが、いつまでの事を言ったのか、よく憶えていないのです。調べると、1986年12月から1991年2月までだそうです。

千代子が、24歳から29歳まで。たったの五年でした。その頃の思い出は、残業が多かった事くらいしか記憶にないのです。土曜日は、ひたすら寝ていました。あとは、残業をして夜食にわかめとじうどんをよく食べていました。たまには、かつ丼を夜食に、とか。ちっとも、華麗ではありません。

しかし、とりあえず千代子も二十代の女子でした。当時から、香りは、大好きでした。サンローランのパリをお腹に一吹きして出勤したものです。

ある日、会社の人気のない階段に香りだけが漂っていました。その香りが、ローズ、バニラ、それと何かわからないけれど、ゴージャスな香りでした。香りに好奇心いっぱいだった千代子は、これは何だろう、だれが着けているのだろうと、香りの強くなる方へと歩いて行きました。そして、その香りを着けている子のところまでたどり着きました。

香りについて尋ねるのは、とても気を使うものです。千代子は、慎重に尋ねました。

「その香り、いい香り。誰が着けているのか探してたのよ。何て香り?」

「これ?最近買ったの。ディオールプアゾンよ」

プアゾン。日曜日にデパートで香りを嗅ぎに行きました。紫のプアゾンは、確かにあの子のつけていたものと同じ香りです。強い香りですが、好きになると癖になりそうな香りです。

あの子も今は、三児の母。プアゾンの香りを憶えているでしょうか。

現物を千代子は、持っていないので、写真の紹介は、出来ませんでした。